2016年6月20日

医科歯科連携による摂食嚥下リハビリテーション

講師:井上 誠 氏(新潟大学大学院医歯学総合研究科
          摂食嚥下リハビリテーション学分野 教授)

と き:2016年6月19日 [日] 午前9:30~12:30
ところ:ホテル金沢 4階 エメラルド [定員100人]
対 象:歯科医師、医師、コ・メディカルなど
参加費:無料  チラシ・摂食嚥下リハビリテーション.pdf
「歯援診」 施設基準対応研修

 

講演動画
http://www.ishikawahokeni.jp/info/inouekoen.html

講演会メモ
1.高齢者の現状
 ①日本人の死亡原因
  ・肺炎が脳血管疾患を抜いて3位に
 ②誤嚥性肺炎
  ・高齢になるほど肺炎の中で誤嚥性肺炎の占める割合が上がる
  ・原因が食品なのか唾液なのかを区別する 絶食にするのか 
  ・要介護高齢者の20%(顕在化したもの)は嚥下機能に問題を抱えている
          おそらく実数は半数をかなり超えている
 ③経管栄養の問題
  ・日本の胃瘻造設数は、英国の10倍以上で70才以上の割合が多い
  ・胃瘻造設原因疾患
     英国は中枢性疾患、精神疾患
     日本は誤嚥性肺炎、脳血管疾患、脱水、低栄養、認知症
          要介護状態と関係している

2.高齢者の摂食嚥下機能
 ①高齢者は口腔乾燥を避けられないか
  ・安静時唾液分泌は低下するが、刺激時唾液は変わらない
  ・高齢者だから食塊形成ができないということはない    
  ・咀嚼刺激が唾液分泌を促す
 ②高齢者と味覚機能低下もイコールではない
  ・加齢によって味細胞は減らない
  ・唾液分泌と味覚は相互依存
          唾液分泌によって味刺激を可能とし、味覚により唾液分泌を促す
 ③加齢に伴って咬合力は低下するのか
  ・高齢者の咬合力は筋力ではなく、残存歯数によって低下する
  ・補綴治療でしっかり咬めれば唾液は減らない
 *①~③はある程度防ぐことが可能
 ④嚥下反射・咳嗽反射惹起遅延
  ・唾液誤嚥  感覚低下
         覚醒・意識レベルに左右される
         筋力の低下ではない
  ・嚥下運動はほぼ咽頭粘膜の反射
                  末梢のコントロール
         大脳皮質の関与は不要
  ・アプローチ 口腔ケアにより衛生状態を改善(対症療法)
             0.6~1.0gの唾液を2分に1回
                  薬物療法
         末梢刺激による機能回復への期待
                      冷水刺激
 ⑤嚥下筋の筋力・緊張低下
  ・食物誤嚥  咀嚼・嚥下運動に関わる機能障害
  ・咀嚼機能は大脳皮質に運動パターンを決定する中枢がある
    歯根膜感覚を遮断しても咀嚼は回復する
     歯がなくなれば一時的になくなるが、大脳皮質で代償する
     正しい顎位、筋肉
    学習する咀嚼 筋紡錘
     硬い物を咬むと2サイクル目からは食品に触れる前から咬筋活動が上昇
  ・咀嚼力の回復は嚥下力の回復ももたらす
飲み込めるようになってから義歯を作るだけではなく、
義歯で噛めるようになると嚥下機能も良くなることもあるので、先に作る選択肢もある
認知機能の改善されることもある
  *④⑤口腔が咽頭期への影響をもつことの意義は大きい
  *咀嚼期と嚥下期の間に食塊の咽頭への送り込みがある
   ・舌を巧み動かせるか 力ではない
    オトガイ舌筋が働く
 ⑥嚥下と呼吸の協調性低下
   ・呼吸が速く、嚥下に時間がかかる(特に男性は喉頭が重く下がっている)ので、
     嚥下後に吸気になる割合が高まり誤嚥しやすくなる
     速く回した縄跳びに入るようなもの

 ⑦認知機能低下に伴う機能障害
 ⑧薬物使用の副作用

3.食品の対応
   食品物性による分類食のどれを食べたらよいか分からない
   生体評価と介助レベルなど環境を加味した上で食品物性を決める
 ①生体機能
    ・嚥下機能
    ・咀嚼(食塊形成能力)
    ・唾液分泌
    ・認知、経験、嗜好
      *食事介助レベル

 ②食品物性
   ・軟らかい、べとつかない、まとまりやすい
   ・とろみ付による誤嚥防止

<ご案内 >
 平成25年の厚労省調査によると、日本は世界でも類を見ないほど高齢化が進行し、平均寿命は男性が 80.21歳、女性が 86.61歳となり、世界のなかでもトップクラスに位置しています。しかし、健康寿命となると男性 71.19 歳、女性は 74.21歳で、平均寿命と9~12年ほどの差があり、改善すべき課題として残されています。
 いま、この差を埋めることに寄与すると医療・介護関係者から注目されている取り組みがあります。歯科にも大きく係わる「口から食べること」がそれです。しかし、高齢者、特に要介護者においては口から食べることは容易なことではなく、口腔ケアのみならず摂食・嚥下障害の克服が喫緊の課題と指摘されています。また、この分野は技術・手技の進展も早いことに加え、歯科医療関係者だけで完結できるものではなく、多職種による連携なくしては成り立ちません。
 そこで、今回はこの分野のエキスパートとして脚光を浴びている新潟大学の摂食嚥下リハビリテーション学分野の井上誠教授をお迎えし、口から食べることの意義・本質はもちろんのこと、口から食べるためには何が必要か、加えて地域医療連携の在り方など多岐にわたる内容をお話ししていただくこととなりました。
歯科医療関係者のみならず、医科・介護などすべての関係者に奮ってご参加いただきたいと思います。

<抄録>
 超高齢社会において嚥下障害に苦しむ患者さんは年々増加しており、その一方で「口から食べること」を臨床介入によって取り戻せる患者さんも多数いらっしゃいます。そこでは、患者さんの家族の理解や協力のもとに摂食嚥下リハビリテーションを進めるだけでなく、関連病院・施設、関係者への啓蒙・啓発活動を行い、嚥下障害者をより広く、地域で支えるための施策を練ることが必要です。これまでの全国の流れを追ってみると、疾患に基づく正確な診断と介入内容の決定と実行に関する技術や知識の問題、多職種連携を進める中で各職種の役割を明確にして責任のある介入を継続するためのネットワーク作りの困難さなどがあげられています。
 嚥下障害に従事する臨床家の責務は、人が人らしく生きていくための大きな要素である「口から食べる」ことを支えること、誤嚥性肺炎を予防することです。私が所属しているのは大学病院であり、医師、歯科医師、看護師、歯科衛生士、療法士、栄養士など多くの職種が集うことで、各々の専門分野の力を有効に生かした臨床が進められています。翻って、地域ではどうでしょうか。施設や在宅の臨床を担う役割分担を明確にすることは難しく、それぞれの地域で考えていく必要がありそうです。

<略歴>
1994年3月 新潟大学歯学部 卒業
1994年4月 新潟大学大学院歯学研究科 入学
1998年3月 新潟大学大学院歯学研究科 修了
<職歴>
1994年4月 新潟大学歯学部第一口腔外科学講座 入局
1998年4月 新潟大学歯学部 口腔生理学講座 助手
1999年12月~2001年11月 英国レスター大学 留学
2003年1月~3月 スウェーデン ウメオ大学 留学
2004年9月 新潟大学医歯学総合病院 摂食機能回復部 講師
2006年10月 新潟大学大学院医歯学総合研究科
              摂食嚥下障害学分野 助教授
2008年4月 新潟大学大学院医歯学総合研究科
            摂食嚥下リハビリテーション学分野 教授 
現在に至る
<専門>
口腔生理学 神経生理学 嚥下障害学
<受賞>
2000年9月 第13回歯科基礎医学会賞
2002年7月 第3回日本顎口腔機能学会奨励賞
2008年5月 第16回国際食品工業展アカデミックプラザ賞
2014年6月 第22回国際食品工業展アカデミックプラザ賞ほか
<役員>
日本顎口腔機能学会 理事
日本摂食嚥下リハビリテーション学会 理事 他

申込み:医療機関名、電話番号、お名前、職種を明記のうえ、
     6月13日(月)までに保険医協会にお申し込み下さい。
  ◎定員に達した場合には、申込締切日前に締め切らせていただきます。
主 催:石川県保険医協会 
  金沢市尾張町2-8-23 太陽生命金沢ビル8階
   TEL 076-222-5373 FAX 076-231-5156
   Eメール ishikawa-hok@doc-net.or.jp 

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