2015年8月24日

そうだったのか! 無歯顎補綴治療 基本編

野村 修一 氏.JPG 義歯は義歯床と人工歯から成る
講 師   新潟大学 名誉教授 野村 修一 氏
 無歯顎補綴治療は総合力。優先順位と勘所を学びました。久し振りに手応えのある講演会だった。次回の応用編が楽しみ。
講演録はこちらへ
http://www.ishikawahokeni.jp/info/sikarinsyo2015.html

メモ
1.勘所
  ①入れていられる
   ・上顎はティッシュ・コンディショニングで何とか落ちなくなるが、
    下顎は適切な義歯形態が必要。デンチャー スペースに収まるように。
     ティシュコンでは無理。入れていられない。浮く、邪魔、痛い
  ②咬み合う

2.下顎義歯は安定(吸着ではなく)
  ①人工歯の排列位置
   ・人工歯が小さいと、前歯は唇側、臼歯は舌側に排列されることが多い。
     顎堤の吸収が進むと、機能時の舌圧・開口時の口唇圧でも
     下顎義歯は後方に移動し、安定しない
   →前歯部を舌側にブロックごと移動・臼歯部を削合し、筋平衡を保つ

  ②床外形線
   ・顎堤が著しく吸収すると、オトガイ棘の骨縁が顎堤頂に近づく。
    前歯舌側床縁が骨縁にあたり痛いため短くなり、辺縁封鎖不良となる
   →床縁を延長し、骨縁部をリリーフする

3.咬合調整
  ①咬合紙の穴を見る→義歯の印記を見る→削合
  ②始めて印記されてきたところは削らない
  ③効率的な咬合調整
   ・中心咬合位で咬頭を残し、対合部位を削る 3割程度
   ・偏心位で干渉となる咬頭を削る      4割程度
      ・中心咬合位で咬頭を残し、対合部位を削る 3割程度
   ・自働削合で仕上げ なめらかな滑走運動
            ラッピングペースト(ブラック・粗)(GC社)
      陶歯の時は歯面研磨ペースト+金剛砂
  ④ゴツゴツを削除、なめらかな動き

4.外れやすい上顎義歯への対応
  ①床縁の長さより幅を確保
      ・Biometric Trayを用いた印象法
   ・舌側歯肉縁残遺と辺縁との幅
    中切歯では6mm、犬歯では8mm、小臼歯では10mm、大臼歯では10mm
  ②進行したフラビーガム
   ・堤上の粘膜の高まりは口蓋すう壁で顎堤ではないので、
     その唇側に人工歯を排列する
   ・大臼歯部での確実な咬合接触をさせ義歯の安定を図る
     小臼歯では顎堤のかなり前になる

5.リマウント
  ①必要かどうか
   ・咬合のアンバランスの程度
     質 中心咬合位直前のわずかな滑り
     量 接触部位が左右、前後で局在
   ・患者の視点
     チェアーサイドでの多量削合は歯科医のエラー修正と思われる
     チェックバイトは製作のステップ
  ②正確なチェックバイトが肝心
   ・ワックスを二つ折りにして均一な軟化
   ・ワックスに穴を空けない
   ・1mmの厚みを確保

6.咬合挙上をする場合
  ①低い咬合高径を回復する挙上なら比較的許容されやすい
  ②空隙を得るための挙上は慎重に
  ③顔面形態との調和(Willis法)
    目と口角との距離=鼻下とオトガイの距離

今さら聞けない臨床シリーズ講演会 シリーズ 第 ⑥ 回
と き   2015年 8月 23日 (日) 午前9:30~12:00
ところ   ホテル金沢 4階 エメラルド
      金沢市堀川新町1番1号 TEL:076-223-1111
対 象 : 会員医療機関の 歯科医師、 スタッフ (定員 100人)
参加費 : 無料
申込み  必要   そうだったのか! 無歯顎補綴治療.pdf
     申込締切:8月19日(水)
     ※定員になり次第締め切ります
主 催 : 石川県保険医協会
      金沢市尾張町2-8-23 太陽生命金沢ビル8階
      TEL 076-222-5373
       FAX 076-231-5156
      Eメール ishikawa-hok@doc-net.or.jp
<ご案内>
 超高齢社会を迎えた現在、歯科に求められるのは医療・介護に携わる多職種と連携した歯科医療であり、訪問診療での歯科治療のニーズは今後ますます高まると思われます。具体的には、摂食・嚥下などの口腔機能の維持や歯科衛生士による口腔ケア、歯科医師による義歯などの補綴治療がその中心になるでしょう。
 しかしながら、義歯治療は歯科治療の中でもとりわけ難しい治療であり、数回の診療で患者さんの痛みを完全に取り除くには、数多くの経験と知識が必要になります。
 そこで、この度、義歯による補綴治療について正しくかつ分かりやすく解説していただこうと、新潟大学で長年にわたり補綴学に携わってこられた野村修一先生をお迎えすることになりました。
 なお、今回の今さら聞けないシリーズ「そうだったのか!無歯顎補綴治療」は、基本編と応用編の2回にわたって開催する予定です。まずは8月23日に「基本編」を開催し、日を改めて応用編を企画します。
 今回の基本編「義歯は義歯床と人工歯から成る」、義歯治療を正しく理解するためにもぜひ多くの先生方に参加していただきたく思います。

「そうだったのか!無歯顎補綴治療」は、基本編と応用編の2回に分けて開催します。
応用編については詳細が決まり次第ご案内します。 ぜひ、2回ともご参加ください。


抄 録          野村 修一
 長寿化にともなって無歯顎の期間が長く、顎堤が極度に吸収した症例と遭遇することが増えている。調整を繰り返しても下顎義歯では床下粘膜の疼痛が消えない、上顎義歯では脱離しやすいとの訴えが続く。下顎では安定不良による動揺、上顎では辺縁封鎖の不足に起因することが多い。上下顎義歯は一対で機能するので、条件の悪い方の安定を優先させるのが得策である。通常は下顎義歯であろう。下顎では顎堤吸収が大きくなると、義歯安定の面では唇・頬や舌から受ける側方圧の影響が強くなってくる。そこで、人工歯の排列位置や義歯外形は筋圧のバランスがとれたスペースに一致させることが重要となる。下顎義歯がこの所定のスペースに納まっていて、床内面と顎堤粘膜との位置関係が大きくずれなければ、咬合接触によって床内面は顎堤粘膜側に圧接される。吸着していなくとも維持が回復することで、不快少なく義歯を使用できる症例は多い。咬合接触は義歯の維持安定を持続させる源となるので咬合採得、咬合調整は極めて重要であり、丁寧に行うことが肝要となる。義歯補綴治療では粘膜面と咬合面とは一体と考えるべきである。
 今回は基本編として、高度顎堤吸収症例への対処として、下顎義歯の安定と上顎義歯の吸着を図る方法を説明する。

<講師略歴>
昭和48年3月 新潟大学歯学部卒業
昭和48年5月 新潟大学助手(歯学部 歯科補綴学第1講座)
昭和59年4月 新潟大学助教授(歯学部 歯科補綴学第1講座)
平成 5年5月 新潟大学助教授(歯学部附属病院 特殊歯科総合治療部)
平成10年1月 新潟大学教授(歯学部 加齢歯科学講座)
平成14年4月 新潟大学大学院教授
    (医歯学総合研究科口腔生命科学専攻 加齢・高齢者歯科学分野)
平成20年7月 補綴系分野再編成により包括歯科補綴学分野(有床義歯学)を担当
平成26年3月 新潟大学定年退職
平成26年4月 新潟大学名誉教授
日本補綴歯科学会 専門医、指導医
日本老年歯科医学会 認定医、指導医

 

参加申込書  FAX 076-231-5156
(1)医療機関名
(2)電話番号     ―   ―
(3)参加者名
    ① ( 歯科医師 ・ その他: )
    ② ( 歯科医師 ・ その他: )
    ③ ( 歯科医師 ・ その他: )

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