2015年4月26日

齲蝕診断の国際基準(ICDAS)の導入と

フッ化物による再石灰化療法のの新たな展開
講師  花田 信弘 氏 (鶴見大学 歯学部探索歯学講座 教授)
とき  4月 26日(日)午前 9:30~12:30
ところ ホテル金沢 2階 ダイヤモンド
対象   会員医療機関の歯科医師、スタッフ(定員100人)
参加費 無 料
申込み 必要 詳しくは 花田信弘先生講演会チラシ2.pdf
主催  石川県保険医協会
     TEL 076-222-5373
     FAX 076-231-5156
      Email ishikawa-hok@doc-net.or.jp

参考に 前回の花田先生講演会
http://www.kojimashika.net/2009/09/post-363.html

講演会メモ
1.歯の硬組織検査(International Caries Detection and AssessmentSystem: ICDAS)
  ①探針を用いた齲窩検診システムの廃止→国際基準の視診による齲蝕分類へ
    1998年初期齲蝕の診査における探針使用の考え方
    2000年望ましい初期齲蝕の診断法
http://www.kokuhoken.or.jp/jsdh//file/news/130829/abstract.pdf#search='%E8%8A%B1%E7%94%B0%E4%BF%A1%E5%BC%98+ICDAS+%E3%81%86%E8%9D%95%E5%88%86%E9%A1%9E'

    コード0 健全な歯面(歯面研磨後5秒間歯面乾燥)
    コード1 目視できる白濁(歯面研磨後5秒間歯面乾燥)
    コード2 歯が湿った状態で目視できる白濁
    コード3 エナメル質に限局した齲窩
    コード4 象牙質の変色が健全エナメル質を透過して暗い陰影として認められる
    コード5 著明な齲窩で象牙質が目視可能(歯面の半分以下)
    コード6 著明な齲窩で象牙質が目視可能(歯面の半分以上に拡大) 

  ②初期齲蝕の診断基準を明確化
    5段階→7段階
    診断が遅いから治らない→早期診断で健全歯に戻す再石灰化治療へ
    乾燥させて白濁が見えるコード1であれば健全歯に戻る
    湿潤化で白濁のコード2では分からない
        これからの受療行動

             これからの受療行動.JPG

  ③初期脱灰が代理エンドポイントとなる疫学根拠
    ミネラル量の喪失は齲窩と初期齲蝕で相関があり、連続変数である
        保険導入に向けて

  ④ICDASの記録法
        二桁表示(修復状態と齲蝕)

    ⑤診査手順
        PMTCから始めるので約30分必要

2.齲蝕の概念を3つの年齢層で区別する
  ①小児齲蝕 感染症(外因感染)としてとらえる
    ミュータンスレンサ球菌の新たな感染
        カイスの3つの輪(病原体、宿主、環境)でコントロールできる
        (ミュータンスレンサ球菌の感染防止、フッ化物塗布、砂糖制限)
    縄文時代に乳歯齲蝕は存在しない(成人の根面齲蝕)
    古代人の主食による根面齲蝕歯率は平均3.1%
      (砂糖を制限すればここまでできる)
    ②成人の齲蝕 感染症と生活習慣病の中間
      二次齲蝕を防ぐ
    ③根面齲蝕 生活習慣病(内因感染)
      ミュータンスレンサ球菌の感染は当たり前
        セメント質はPH6.7で脱灰(エナメル質は5.5)
        象牙細管からの細菌侵入
    降圧剤、抗うつ剤(デパス)による唾液分泌低下が根面う蝕を誘発する
        高齢者の齲蝕未処置歯保有者は増えている

3.ミュータンスレンサ球菌の感染の窓
    生後19~31ヶ月
    この時期の砂糖制限と仕上げ磨きで防げる
    母親に伝える
        乳歯齲蝕の放置が第1大臼歯裂溝へミュータンスレンサ球菌を定着させる
    ミュータンスレンサ球菌フリーの高校生が増加している
    カリエスフリーの子供はミュータンスレンサ球菌フリー
        12歳児の齲蝕を減少させることが重要

4.フッ化物の抗齲蝕効果の理論が変化
    フルオロアパタイト形成による歯質強化→フッ化物の再石灰化促進効果
    口腔内に常時フッ素が存在することが大切 
    フルオロアパタイトはエナメル質を壊さない限りフッ素を除放しない

5.根面齲蝕のICDAS
    今後、歯周病後の根面齲蝕が増える

6.歯科医が健康医を目指す
    オーラルフレイル → サルコ・ベニア → 虚弱高齢者(フレイル)
   滑舌低下              咬合力低下              摂食嚥下障害
   わずかなむせ         舌運動力の低下          咀嚼機能不可
   噛めない食品増加    食べる量の低下

  ①栄養管理
    *歯が悪いと、炭水化物(糖質)が多くなり、タンパク質が不足する
    *以下の口腔の特徴をわきまえて栄養指導する
  ②細菌叢の管理
    感染根管と歯周炎の治療
        血管の慢性炎症を防ぐ
    歯のクリーニングとオメガ3脂肪酸の摂取で
      歯の細菌が全身に拡がることを阻止しましょう

             歯のクリーニングとオメガ3脂肪酸.JPG

  【歯を喪失した高齢者の食事の特徴】
    ・いも類、穀類を多く食べる
        ・ナッツ(種実類)が少ない
        ・果実が少ない
        ・キノコ類が少ない
        ・肉類が少ない
        ・牛乳、乳製品が少ない
        ・お茶、紅茶など嗜好飲料が少ない
   英国の無歯顎者は
        非でんぷん多糖、タンパク質、カルシウム、非ヘム鉄、ナイアシン、
        ビタミンC、野菜、果糖および乳糖が少ない
   【栄養バランスの偏り(食品多様性の欠如)】
    ・齲蝕は3大栄養素が炭水化物(糖質)過剰に→タンパク質の低下
    ・歯周病は5大栄養素のバランスの偏り→ミネラルビタミン不足 

   【歯を守る食事:オメガ3脂肪酸(αリノレン酸)】
    ・魚に多く含まれるEPA・DHA
    ・摂取しないと、歯周病の進行リスクが約1.5倍高くなる
      ・オメガ6脂肪酸は炎症作用を促進する
         http://www.dent.niigata-u.ac.jp/nds/journal/401/401-85.pdf#search='%E3%82%AA%E3%83%A1%E3%82%AC%EF%BC%93%E8%84%82%E8%82%AA%E9%85%B8+%E6%AD%AF%E5%91%A8%E7%97%85'

<ご案内>
 「私見ながら、より幅広い『口腔機能の向上』に視点を置くことで、たとえば齲蝕に関しては、重症化予防の観点から『Coの段階からの関与』を保険導入できないか検討したい」昨年9月に開催された平成26年度社会保険指導者研修会で、田口円裕厚生労働省保険局歯科医療管理官は上記のような注目すべき発言をしました。
 日本歯科医学会でも、新規保険導入をめざし、「新病名」の絞り込み作業が進められていると言います。また、保団連でも、竹田正史副会長は昨年の歯科全国交流集会で、「新しいパラダイム」に向けた流れが萌芽しつつあり、それを積極的に推進したいとの基調報告をしたばかりです。
 まさに新しい分野の保険導入に向けて着々と外堀が埋まりつつある状況で、花田信弘教授をお招きして「ICDASⅡ(歯科硬組織検査)」に関する講演会を企画できることはタイムリー、かつ有意義なことと思われます。
 会員の皆様におかれては、この貴重な機会を活用し、歯科における新潮流に触れ
ていただければ幸いです。多くのご参加をお待ちしています


<抄録>
 今回ご紹介するICDAS(International Caries Diagnosis and Assessment System)は、国際的齲蝕 診断・評価システムです。このシステムは,世界保健機関(WHO)の 齲蝕診査基準で定義されている「健全歯」をより詳しく4段階に分け診査しようとするものです。ICDASでは歯面バイオフィルムを除去し、5秒間エアシリンジで乾燥させても初期脱灰のサインである白濁がない場合のみ「健全(Code 0)」と診断します。齲蝕による白濁があれば、Code 1で、診断後はフッ化物を用いて再石灰化治療を実施します。
 根面齲蝕の場合は、エナメル質の診査と同様に根面をエアシリンジで5秒間乾燥させた後に色調変化(茶色または黒色)が認められない場合は健全(Code 0),色調変化が認められた場合,実質欠損がなければCode 1,深さ0.5mm以上の実質欠損があればCode 2に判定されます。
 再石灰化療法については近年様々な技術が開発されています。本講演ではICDASによる診断の方法について練習をしていただき、診断後に必要な再石灰化療法について解説いたします。

<略歴>
1981年 公立学校法人九州歯科大学歯学部卒業、同大学院修了、
   米国ノースウェスタン大学医学部微生物学研究員、
   九州歯科大学助手/講師、岩手医科大学助教授を経て
1993年 国立感染症研究所部長
2002年 国立保健医療科学院部長
2008年 鶴見大学歯学部教授となり現在に至る

専門分野:衛生学・公衆衛生学、予防歯科学
委員等:内閣府消費者委員会専門委員、日本歯科医学会学術委員会委員長、
    日本口腔衛生学会理事・指導医、日本歯科医師会地域保健委員会ワーキングメンバー、
    日本歯科大学客員教授、東京理科大学客員教授


 

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