2014年1月24日

矯正歯科治療で何ができるのか

講 師:くぼた矯正歯科医院院長 窪田 正宏 先生
講演要旨
 最近では歯に矯正装置をつけている人を見かけることが珍しくなくなりました。矯正治療を受ける人が増えた理由として、食生活の変化による顎骨の発育不足や歯列の狭小化、悪習癖による口腔周囲筋の不均衡等により以前よりも歯列や咬合状態の悪い人が多くなったからと考えられています。矯正治療は審美性の改善が主たる目的と考えられがちですが、虫歯や歯周病の予防、咀嚼や発音機能の改善も重要な目的です。また、矯正治療は成人では手遅れと思っている方も少なくありませんが、実は治療対象に年齢制限はありません。今回は症例写真をお見せしながら矯正治療で何ができるのかをわかりやすく解説したいと思います。

メモ
1.本当に歯は動くのか?
2.矯正歯科治療の目的
    形態の改善
   ・歯並びが良くなることで虫歯や歯周病の予防につながる。
   ・歯並びに対するコンプレックスをなくすことで社交的になる。
  機能の改善
      ・咬み合わせが良くなることで咀嚼効率が上がる。
      ・口腔周囲筋のバランスが良くなり、正常な鼻呼吸がしやすい環境ができる。
      ・顎骨の成長を正常な方向へ誘導する。
            かみ合わせと食品の食べにくさ.JPG 

3.最近の子供達の歯並びの特徴
   ・V字歯列
   ・歯列幅が狭い(舌側傾斜)→咬めない、咬まない
      ・下顎後退型上顎前突
     *睡眠時無呼吸症候群を防ぐためにも10歳ぐらいまでに気道を広げる
      ・上顎埋伏3番による2番歯根吸収
     *レントゲン写真を撮らないと分からない(CTで確認)
4.歯並びを悪化させる習癖
      ・指しゃぶり
      ・舌突出癖
      ・その他の習癖(口呼吸、咬唇癖、咬み癖、歯ぎしりなど)
      ・頬杖
      ・うつぶせ寝
      ・猫背                など

頬杖1.JPG  頬杖2.JPG

5.矯正治療の開始時期
矯正治療の開始時期.JPG

6.最新の矯正治療
   ・アンカースクリュー(インプラント)矯正
 「アンカースクリュー」は、顎骨の骨折等の際の固定に用いる「骨接合用品」として薬事承認されていたが、矯正歯科治療用としては認められていなかった。2012年8月に薬事法の承認が取れたが、まだ保険治療では認められていない。つまり、顎変形症や口蓋裂などの先天性疾患のある矯正治療には使用できない。
   ・マウスピース矯正

第32回なんでも学術!なんでも回答?よろず勉強会
シリーズ 医科会員のための歯科講座 
と き:2014年1月23日(木)午後7時15分~午後8時45分
ところ:近江町交流プラザ 4階「研修室1」
対 象:保険医協会会員
参加費:無料(定員30人)
案内チラシ 第32回よろず勉強会(窪田先生).pdf
申込み:1月20日までに必要事項を記入いただき、
    FAX、電話、メールのいずれかでお申し込みください。
   (講師の先生への質問がある場合は、1月14日まで)
主 催:石川県保険医協会 学術保険部・歯科部
 電 話  :076-222-5373
 FAX   :076-231-5156
 代表メール:ishikawa-hok@doc-net.or.jp

第32回よろず勉強会報告記事                       執筆;三宅靖理事
 石川県保険医協会学術保険部主催の「第32回なんでも学術・よろず勉強会」が1月23日近江町交流プラザにて開催されました。この勉強会では「歯科から医科への発信」をテーマにシリーズ化しています。
 今回は金沢市片町でご開業の窪田正宏先生に矯正歯科治療についてのご講演をお願いしました。窪田先生は平成5年に石川県で初めての矯正歯科専門の歯科医院を開業され、矯正歯科分野の第一線で先駆的なお仕事を続けていらっしゃいます。
 まず矯正歯科治療の目的についてのお話がありました。歯並びを良くすることにより、精神的コンプレックスを解消することや虫歯や歯周病の予防、咀嚼効率の改善とともに顎骨の成長や正常な鼻呼吸を促すなどの効果がもたらされます。そしてこれらの目的を歯牙に比較的弱い力を持続的に加えて歯牙を移動させることにより達成するのが矯正歯科であるとのことでした。このように生体内の一部を「移動させて」治療するということは医科の領域には存在しないことであるとのお話はとても印象的でした。
 またご講演では多くの症例をご提示いただきました。口を閉じても上下の門歯の間に隙間ができて充分に咀嚼できなかったり、上顎や下顎が突出していたものが経時的に改善してついにはほぼ正常な噛み合わせになっていく様子には驚きさえ覚えました。
 また最近の子供たちは臼歯が内側に傾斜し、咀嚼効率が悪くなっていることが多く、その原因として運動不足による筋力の低下やゲームのやり過ぎによる姿勢の悪化などが指摘されました。食育との関連も含めて重要な問題と考えるべきと痛感しました。
 ご講演後の質疑も大変に活発なものとなり、特に最近若い女性にも睡眠時無呼吸症候群が増えていることと顎骨の成長が充分でないこととの関連のディスカッションはとても興味深いものでした。
 当協会では今後もこのシリーズを継続していく予定です。実地臨床に役立つ貴重なお話を聞くことのできる会ですので1人でも多くの会員の先生方にご参加いただきたいと考えております。

 

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