2008年10月 2日

歯科医院のフード・カウンセル

小児歯科臨床叢書①
歯科医院のフード・カウンセル
ー食環境の変化と食事指導ー

全国小児歯科開業医会(JSSP)編集協力委員会=編
東京臨床出版
6000円
2003年1月10日発行

 これまで、子どもの食生活を身体発育のために「何をどれだけ」食べるかという「栄養素栄養学」の角度から見ることが多かったですが、この本を読んで、機能の発達のために「どのようにして」食べるかという視点で、離乳食から幼児食について考えていただきたい。

1.補食と嚥下時の口唇閉鎖
 上手な食べ方を習熟するために乳歯列完成前にクリアーしなければならないことは、補食と嚥下時の口唇閉鎖です。乳児が開口したときに、フォークで刺して舌背中央部に食物を入れ込むような食べさせ方の介助では、嚥下の口腔相の動きである舌尖から咽頭に向かって食塊移送の動きを学ぶことが出来ません。食べさせるのではなく、食べる動きを引き出すような食事介助が必要であることを指導しなくてはなりません。

2.「歯ぐき食べ」
 離乳食のかたさの進め方が早くなっていることが、咀嚼発達、特に「歯ぐき食べ」の遅れの原因と考えられました。離乳中期(舌食べ)に、顎が左右対称にもぐもぐと動く様子を「噛んでいる」と勘違いして、舌で潰せない硬すぎる食物を与えるために、比較的食欲のある子は「丸飲み」に、ない子は「飲み込まぬ」になりやすいようです。最も重要な「歯ぐき食べ」の判別は、舌が初めて左右に動くようになりますので、それにつれて口角が片側に偏ったり、上下によじれるようになって左右非対称になることです。

3.手づかみ食べ
 拇指と人差し指で小さなものを上手につかめるようになる10ヶ月頃に手づかみ食べを始めます。自分で食べる喜びを教える時期であり、口唇で食物を補食する機能を完成させる時期です。絶対に一口に入らない大きな食物塊から自分で処理できる量を計り、食物の性状に応じた口の構えを作る練習をする大切な時期でもあります。
 握りやすい太さや長さの目安は、ステック状で1㎝角、長さ5~7㎝です。手づかみ食べにとって避けたいものの例としては、繊維性が強く、薄くて物性のつかみにくいキャベツ・レタス等の葉ものです。

4.レディネス(発達の準備性)
  子どもの発達がどこまで整っているかをレディネス(発達の準備性)といいます。つまり、子どもに箸の使い方を教えようとしてもその子どもが箸を使うだけの発達に達していなければ、どんな教え方で対応しても学習できないことを意味しているのです。その発達の準備性を無視して強要しても結果は良くないばかりか、心理的には自信を無くし母親との信頼関係にも悪い影響を与えます。

5.スプーン、フォーク、箸
 食具を使わせたらよいかの1つの目安は、物の硬さに応じて握り、握りつぶさなくなった時期でしょう。手づかみで食べることによって上肢、手指と口の動きの協調運動が獲得される1歳半頃からは、スプーンなどの食具を用いた食べる機能の獲得時期です。スプーンの口に入る位置ははじめ口角ですが、上手になってくると口の正面からになります。またスプーンを引き抜く方向が上方ではなく、水平方向になったら、フォークを使わせ始めてよいでしょう。食器を持つ手と箸を持つ手が、体幹の中央部で協調してなされる年齢まで使用させないのがよいと考えています。使用基準として、母指、示指、中指による3面把握でスプーンが上手に使えるようになってから箸の使用を指導しています。

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