2008年7月31日

「離乳期からの口腔育成を考えた食」について

歯科医から見た
「離乳期からの口腔育成を考えた食」について
-「自分で食べたい」食べる意欲と機能発育をうながすために-

1.自立の過程
  A.発達する口腔領域の機能獲得期
  ①哺乳期                           a.指しゃぶり、玩具しゃぶり
  ②離乳初期(口唇食べ)生後5~6ヶ月頃
  ③離乳中期(舌食べ)   7~8ヶ月頃
  ④離乳後期(歯ぐき食べ)   9~11ヶ月頃     b.手づかみ食べ
  ⑤離乳完了期  生後13ヶ月頃                c.スプーン、フォーク、箸
 B.自立過程に置いて機能の発揮の仕方を学ぶ幼児期前半

2.補食と嚥下時の口唇閉鎖
 上手に食べるために、唇で食べ物を取り込めることと飲み込むときに唇を閉じていられることが3歳までに必要です。乳児が開口したときに、フォークに刺して食物を舌中央部に入れるような食べさせ方の介助では、飲み込む一連の舌先から喉の奥への食べ物の移動を学ぶことが出来ません。食べさせるのではなく、食べる動きを引き出すような食事介助が必要です。

3.「歯ぐき食べ」
 離乳食のかたさの進め方が早くなっていることが、咀嚼発達、特に「歯ぐき食べ」の遅れの原因と考えられました。離乳中期(舌食べ)に、顎が左右対称にもぐもぐと動く様子を「噛んでいる」と勘違いして、舌で潰せない硬すぎる食物を与えるために、比較的食欲のある子は「丸飲み」に、ない子は「飲み込まぬ」になりやすいようです。最も重要な「歯ぐき食べ」の判別は、舌が初めて左右に動くようになりますので、それにつれて口角が片側に偏ったり、上下によじれるようになって左右非対称になることです。

4.手づかみ食べ
 拇指と人差し指で小さなものを上手につかめるようになる10ヶ月頃に手づかみ食べを始めます。自分で食べる喜びを教える時期であり、口唇で食物を補食する機能を完成させる時期です。絶対に一口に入らない大きな食物塊から自分で処理できる量を計り、食物の性状に応じた口の構えを作る練習をする大切な時期でもあります。
 握りやすい太さや長さの目安は、ステック状で1㎝角、長さ5~7㎝です。手づかみ食べにとって避けたいものの例としては、繊維性が強く、薄くて物性のつかみにくいキャベツ・レタス等の葉ものです。

5.レディネス(発達の準備性)
  子どもの発達がどこまで整っているかをレディネス(発達の準備性)といいます。つまり、子どもに箸の使い方を教えようとしてもその子どもが箸を使うだけの発達に達していなければ、どんな教え方で対応しても学習できないことを意味しているのです。その発達の準備性を無視して強要しても結果は良くないばかりか、心理的には自信を無くし母親との信頼関係にも悪い影響を与えます。
 早い時期から大人と同じ食事を与えていますと、咀嚼や嚥下の悪いパターンを学習してしまいます。いわゆる噛まずに飲み込んだり、噛み方にリズムがない、いつまでも噛んでいて飲み込めないなどです。

6.スプーン、フォーク、箸
 食具を使わせたらよいかの1つの目安は、物の硬さに応じて握り、握りつぶさなくなった時期でしょう。手づかみで食べることによって上肢、手指と口の動きの協調運動が獲得される1歳半頃からは、スプーンなどの食具を用いた食べる機能の獲得時期です。スプーンの口に入る位置ははじめ口角ですが、上手になってくると口の正面からになります。またスプーンを引き抜く方向が上方ではなく、水平方向になったら、フォークを使わせ始めてよいでしょう。食器を持つ手と箸を持つ手が、体幹の中央部で協調してなされる年齢まで使用させ過ぎないのがよいと考えています。使用基準として、母指、示指、中指による3面把握でスプーンが上手に使えるようになってから箸の使用を指導しています。

7.嗜好
 最初は食物本来の味を教えることから始めるべきでしょう。つまり、味を付けをしない食物を、単品で与えることです。少しずつ味を付けていきますが、薄味好ましい。大人と同じ味付けの物を与えるのは、処理できないと吐き出すようになってからです(摂食機能が完成した時期)。
 嗜好も言葉と同じように発達・学習現象で、食べ方の発達や体験を経て次第に嗜好の幅が広がっていく典型的な発達現象です。子どもがある食品を嫌って食べない場合に「まだ食べられるようになっていない」と発達あるいは時間の流れの中で考えるべきなのです。

8.食欲と意欲
 食欲を育てるためには、まず、空腹感を味わえる生活リズムを作ることです。生後4ヶ月になったら、夜間授乳を止めることから始めます。乳を飲みたいという意欲(食欲)が最初であり、最初の充実感であり、意欲発達の原動力になります。
 食欲と意欲の発生の脳内メカニズムはほぼ類似しており、楽しい食事の体験を重ねることで食べようという意欲(食欲)が発達し、それがその他の意欲・好奇心など重要な心の発達と相互関係をなすと考えられます。食欲があり楽しそうに生き生きと食べる子は意欲があり自発性・好奇心に富むなど、心の(+)傾向が多く、反対に食べるとき楽しくなく、イヤイヤ食べる子、食欲のない子は意欲や好奇心に乏しいなど(-)傾向が見られました。

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